快楽殺人。
最近顕著に耳にするようになったこの手の犯罪のニュース。
今回のはシチュエーションも奇抜で興味深い。
犯人の男は、窒息にもだえ苦しむ人間の顔をみて絶頂を味わうそうだ。
過去にも、何人か殺害までは行かなくとも窒息させて摑まっていたそうだ。
今度の場合は自殺志願者を募るサイトで、相手を呼び出し、自分は自殺をせずに
目的を達するといった具合だ。
まさか自分の獲物を自殺志願者から選ぶとは実に効率がいい。
おまけに被害者の理不尽さも軽減してしまう。
何しろ被害者は「死にたくて」仲間を探しているのだから。
奇妙な、需要と供給の一致というわけだ。
9.11テロのような、悪い意味での効率の良さがある。
犯人のタイプとしては、切り裂きジャックのような通り魔的なものだけれど、
街で不特定多数の人をランダムに襲うのではなく、ルアーフィッシングのように
死を望んでいる人間を選んでいる。
感情的には犯人の行状は許されるものではないが、被害者の方も同情はできない。
自殺を望むなどという命を軽んじた人間の、これは天罰というものだろう。
仮にこの犯人と出会わなくとも仲間を見つけていたら、やはり自殺して死んでいたのだろうから。
家族は犯人を憎むことで救われる。
自殺などされたら、その責任を感じて、一生負い目を背負って、
生きなければならないのかもしれなかったのだから。
この事件、皮肉でユニークでしかも救いが無い。
そして被害者の「死」に関しては、選択肢が無いくらい確実な物だったのだ。