人として

ガオガオガーというアニメがあります。
主人公はサイボーグ・ガイ。
放映第2話でオペレーターの卯都木命がガイの生命の危機にパニックを起こし叫びます。
「ガイが死んじゃうー!」
このとき、自分は仲間たちと番組を見ていて思いました。
この二人には今まで色々あったのだろうなぁ、と。
側にいた女友達は「たかが高校生でそんなのあるわけが無い」といった。
自分は口にこそ出さなかったが「男と女なんて一ヶ月あれば十分だ」と思っていた。
後のCDドラマでその経緯が明かされるのだが、なぜ自分がそのような考えにいたったか。

それは「人でなくなってしまった男と、その恋人」といった関係が
これ以上も無く、悲劇に思えたからだ。
かつて、エイトマンは自分の機械の体が思いを寄せてくれる女性に答えられないことに
悲しんでいた。
キャシャーンはついに人に戻ることなく幼馴染のルナと生きていった。

人でありながら人の肉体を失った者。
かつて「デビルマン」の飛鳥了は叫んだ。
「この意味がわかるか!?人で無くなるという事の意味が!」
「人であることの喜びも悲しみもその全てを!・・・捨てるのだ。」

人ではなくなってしまった男、獅子王凱
もはや恋人を抱くこともできない。SEXができない。子供を作れない。
去勢されと同意なのだ。男としてのアイデンテティは失われた。
だからガイは戦いに情熱を、命をかける以外に仕方が無かったのだ。

そんな恋人を見つめ、正面から受け止めた女、ミコト。
死んだと思っていた男が生きていたことを喜ぶも、
もうその男の体に抱かれることは無い。
それでもその男の側にいることで支えようと決意した女。

それは自分も両親を失い、恋人も失って心の支えが無くなった者の逃避だったかもしれない。
けれども二人はお互いを支えあうことができた。

一度はミコトの申し出を断るガイだがその決意についに同意する。

CDドラマで明かされるまで二人のやり取りはわからなかったが
この作品の出来上がりを観ればそのくらいの裏ドラマは想像に難くなかった。
この予想が当たったとき、それみたことかとおもったものだった。

特撮で言うと、仮面ライダーシリーズが筆頭だけれども
アギトを最後にこの悲劇は無くなる。
これは往年のライダーファンとしてはとても悲しいことだ・・。