空我
最近、思いついて「仮面ライダークウガ」を見返していた。
やはりいい。
昔の恐怖怪獣映画のホラー感が顕著で見ていて引き込まれる。
そうやって視聴していて不意に思いついたことがある。
五代雄介は最後の敵、「ン・ダグバ・ゼバ」との戦いで
泣きながら拳を振るっていた。
あのシーンはあくまでイメージとして表現したものと公示されている。
仮面ライダーの「仮面」の意味を深く感じさせる表現だと思った。
きっと、五代雄介はそれまでの戦いでも最後には涙を流していたのでは無いだろうか?
そう思った。
そんな想像を裏付けるような演出に今回の再視聴で気が付いた。
数々の戦いの中で敵を倒して変身を解くシーン。
かならず視聴者に対して後ろ向きなのだ。
これは何を意味するのか?
最終回の演出から敵との戦いの中で泣いていたと思われる五代。
拳を振るうことすら嫌悪を示していた五代。
変身を解いたとき皆に背を向けているのは、流した涙を見せたくないから、なのではないだろうか。
五代雄介の信条は、「皆に笑顔でいてもらいたい」
そのためには自分の悲しんでいる姿を見せて心配をさせたくない。
そういった気遣いがあったのではないか。
戦いの後、初期はやたらと笑顔を周りの人々に振りまいていたのも
そういった気遣いの結果だと思う。
物語中、身の回りの人に対して時折自分の今の心情を吐露するシーンもいくつかあった。
「あの感覚は好きになれないからね・・・」
「俺はコレ(拳)を使ってすごく嫌な気持ちになった」
理不尽な暴力を振るい命を奪う存在から「皆の笑顔を守る」ため、
己の心を殺し続けてきた五代雄介。
最終の二話はそんな五代のための鎮魂曲だったと思う。
仮面ライダーの「仮面」とは己の心を隠す仮面。