叛逆の物語感想(ネタバレ)

魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」
公開日から数えて3回、観に行きました。
落ち着いたのでつらつらと感想を書き記したいとおもいます。

この映画鑑賞後、思い当たったのは「さよなら絶望先生」のネタ「起承転結+闇」でした(笑)


魔法少女のテンプレートにそった演出で非常にかわいらしく、
「なるほど、まずは魔法少女らしい映像で楽しませてくれるのだな」と考えていました。
くどいまでの変身シーンも昨今のプリキュアでは珍しくも無いですし。5人の個性豊かなアクションに
目を奪われていました。


魔法少女の日常が明るく楽しく描かれる中、ほむらの表情が曇り勝ちになるシーン。
このアタリからまどマギの本領発揮か?と期待していました。
冒頭の魔法少女アクションは本編ストーリーからはありえないことは視聴側にも良くわかっています。
「誰かの夢?」と予想していました。例としては「うる星やつら」の映画第2弾「ビューティフルドリーマー」があります。
では誰の夢なのか。ほむらが一歩ずつ真実をたどっていくさまが緊張感を呼びます。


そして、現状からこの状態が「魔女の結界」に酷似している事を取り戻しつつある記憶の中で確信し、
もっとも違和感のあった、マミのお供の「ベベ」に狙いをつけます。
この作品の一つ目の見所、マミとほむらの銃撃アクション。
一見派手に見えるアクションですが、見所はマミのテクニカルな戦い。
マミの隙を突いて時を止めてべべを連れ出したほむら。
しかし、すでに髪を解き眼鏡をはずしたほむらに違和感を抱いていたのか、ほむらの足には
マミのリボンが巻きつけられていました。これによって時間停止のアドバンテージを失ったほむら。
それでも、自分に銃を向けることで強引にマミの隙を誘い、リボンの切断をして優位に立った。
ソウルジェムを打ち砕こうとして躊躇し、腿に銃弾を打ち込むことで足止めをしようとしたほむら。
が、時間停止を解除した瞬間に銃弾のあたったマミはリボンによるフェイクだった!

このやり取りは実に感心しました。
いつ入れ替わった?の疑問に答えが出たのは3回目の視聴時。
銃撃のラスト、撃ち放った銃弾が時間停止の解除とともにはじけ飛んだとき、一瞬二人を煙が包んだ。
おそらくこの時であろうと思います。
そうしてリボンに絡め取られたほむらは魔女の危険をマミに告げますが、
マミの答えは「魔女なんて知らない」【私たちが戦っていたのは魔獣」でした。
自分の答えに違和感を覚えたマミの隙を付いて飛んでくる「消火器」!
このアタリもTV本編からきたネタでニヤリとさせられました。
そして、何もかも知っているそぶりの美樹さやか。問い詰めるほむらの前で「人魚の魔女」の影をちらつかせる。
この辺りのワクワク感はたまりませんでした。


追って来たまどかとの会話で目の前のまどかが偽者ではなく本物と確信したほむらはこの状態を作り出したのが
自分であると気がつきます。
なぜ自分が「魔女」に?いつの間に?
その疑問に答えたのは冒頭より登場しながら言葉をしゃべらなかったキュゥべえでした。
この映画の当初の仮タイトルが「インキュベーターの逆襲」というのは良く耳にしていました。
やるとしたら「円環の理」を無効化するんだろうな、とは予想していましたが
まさに、インキュベーターの目的は「円環の理」を観測すること!
解明のできなかった回復不能ソウルジェムの消失の謎を解くこと。
前作の最後、ほむらの語った「鹿目まどか」に関する話から、実験を行うことを考えたようですね。
相変わらず、自分たちの目的のためには何のためらいもなく魔法少女を食い物にするなあ。
そしてインキュベーターの目的が「円環の理」の観測からコントロールに至ることと気づいたほむらの激怒!
これはもう、TVシリーズ見てきた視聴者にとってはさもありなんという感じでした。怒るよそりゃ。
そして、現状維持のまま魔女として完成することで「円環の理」の救いを拒絶することを選んだほむら。
魔女化の際の心象風景や魔女化した姿が痛々しい。
そこに登場する他の魔法少女
いやおうにも盛り上がるさやかとべべの種明かしシーン!
そして、「円環の理」に導かれた魔女の手下たちと共に魔女ほむらを救おうと戦うシーンは
もう目に涙が止まらない。
そして、とうとうやった列車砲・ティロフィナーレ!心の中で大喝采をおくりましたよ!
杏子のつぶやきもまた、悲しみを誘い、さやかとの真の共闘が涙を誘います。


そうして、インキュベーターの陰謀を防ぎ、いよいよ「円環の理」まどかとの再会と救済がおとずれる

かと思いきや、ほむらの「叛逆」がここで始まります。
まどかの幸せのためなら自分が汚れることも厭わない。
そうして、世界を再び書き換えます。鹿目まどかが人間として生きられるように。


まとめ
いや、ジェットコースターみたいな映画でした。あがったりさがったり。
見ている劇場内の温度が徐々に上がっていくのがわかるんだもの(笑)
こんなの初めて。
購入したポップコーンを食べ残したのも初めて!たべる暇なんかありませんでしたよ。

ネットでは作中の色々な謎が議論されていますが、その中でさやかとべべ、まどかはどうやって結界の中に入り込んだのか?
これは自分の想像ですが、インキュベーターは作中で「招き入れられた犠牲者の一人として具現化するしかない」と
いっています。
現実世界には具現化できない円環勢がどうやって入ったのか?
それは杏子やマミに取り付く形ではなかったのか、と考えます。
インキュベーターの目論見は「円環の理」には予測されていたことのようです。
まどかは現実世界にも存在した形跡のない存在の為、真っ先に目をつけられることが予想されたのでしょう。
自分の記憶と力をさやかとべべに託し、インキュベーターの目を欺きました。
そして、まどかは両親に、さやかは杏子に、べべはマミに取り付く形で一緒に結界に入り込んだを思われます。
だから、杏子はさやかと一緒に住んでいると設定され、べべは他の皆に会う前から一緒と設定されました。
べべの本性のなぎさは小学生らしきせいもあり、マスコットという形でマミのそばに付いたのでしょう。

本編映像の中には心理的暗喩やヒントがちりばめられていて、とても一回見たくらいでは理解しきれないです。
答えが全部映像の中にある。
目ざとい人や知識のある人がいろいろ探し出してきて、そういった意見を見聞きするのがまた楽しい。
中毒性のある映画ですね。はやくBDででないかなあ。

とりあえずはこの辺で。